チタンのTIG溶接についてチタンとは? チタン(チタニウム、Titanium)は、原子番号 22の元素で、元素記号はTi。外観は銀灰色で金属光沢を持つ元素です。軽くて強度があり耐食性の良い金属のため、航空機、自動車、ロケット、スプーン・フォーク、食器、ゴルフクラブ、自転車のフレームなど多岐にわたって使用されています。 溶接上の注意 チタンは200℃以上で大気中の酸素、窒素、水素等のガスを激しく吸収し、より高温では色んな酸化物、油脂、水分、塵埃および鉄等の金属と容易に反応してもろい化合物を作り、溶接部は脆化(ぜいか)しブローホールを発生し耐食性を劣化させ曲げ加工や衝撃などで簡単に破断してしまいます。 そのためTIG溶接では溶接の終わったビードおよびそのまわりの母材も、200℃以下になるまでアフターシールドを行う必要があります。 良好な溶接ビードの表面は銀白色となり、金色、青色、紫色、虹色、灰色は溶接不良となります。 チタンは熱伝導度が小さいため、アークの発生している点でのみ局部溶融し、湯流れが非常に良いため溶接作業は容易です。また溶接歪みが小さいため急冷しても変形の問題はありません。 ●開先の加工は機械切削加工のみで行ってください。グラインダー加工は不可です。溶接直前に開先部分と溶接棒をアセトン等の溶剤で十分に洗浄してください。(鉄粉、油脂、手あか、塵埃を完全に除去すること) ●シールド用アルゴンガスは 99.99パーセント以上の純度ですが、ボンベの内圧が 5kg/cm2 以下になると純度が低下する場合があるため少ない内圧でのボンベは使用しない方が安全です。 ●TIG溶接は直流正極性(DCSP)で行い、タングステン電極は2%トリウム入りのトリタンが安定したアークが得られます。仮付けは極力さけ、アークスタートはタングステンの混入を防ぐためタッチスタートを絶対に避け高周波スタートで行ってください。 ●溶接の始めは十分な溶け込みが得られるように溶融池を若干時間スタートで保持し、終わりはクレーターを残さないようにアークを終了したのち十分冷却するまでアルゴンガスでシールドしてください。
アルミ・アルミ合金のTIG溶接について アルミニウムとは? 英 Aluminium, 米 Aluminumは原子番号13の元素で、元素記号はAl。自然界には化合物のかたちで広く分布しています。アルミは銀白色の金属で、常温常圧で良い熱伝導性・電気伝導性を持ち、加工性が良く、実用金属としては軽量なため、広く用いられています。 純アルミニウムは軟らかい材質のため、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にすることで強度など金属材料としての特性の向上が図られています。アルミニウム合金の軽さと強度を応用した例としては、ジュラルミンがあります。ジュラルミンはAl-Zn-Mg-Cu系のアルミニウム合金です。 アルミニウム合金は、高い強度を持つ反面、溶接・溶断は特に難しくなっています。
3000番台 Al-Mn系合金 加工性、耐食性、強度が良好 用途:ビール・ジュース缶ボディ部
5000番台 Al-Mg系合金 用途:船舶、車両、自動車用ホイール、建築用内外装、圧力容器、ビール・ジュース缶蓋部分
溶接上の注意 母材、溶接材料を清浄に保つこと。冶具や手袋なども清潔なものを使用します。 変形を少なくするためには冶具を用いて拘束します。 熟練するにしたがって大電流、高速で溶接するように心がけ、変形を少なくすることが必要です。 シールドガスは常に溶接部を覆うようにし、適当な防風策を施し、ガスの流れが乱れないように工夫して下さい。 タングステン電極はノズルよりあまり出さないようにして下さい。 溶加棒は溶融金属の端で溶かすようにします。 TIG溶接は交流溶接機で高周波スタートを併用します。 予熱は必要に応じて行いますが、200℃以上の加熱は避けて下さい。 欠陥の原因 ブローホール 母材・溶接材料の汚れ、アーク長の不適当、操作の不良 縦割れ 開先の不適当、過大拘束 クレータ割れ アークの操作不良、溶接材料の種類・径の不適当
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